死ぬ前に山梨に行きたい。
ふと、 死にたい。とは思う。でもその前に山梨に行きたい。
どれだけ辛くてもふと山梨に行くまでは死ねないなとも思う。
山梨で美味しいほうとうが食べたい。
過去に食べたあの味が忘れられない。
あの味噌味のスープにひらたい麺がほどよくからまるのがたまらない。
そもそもかぼちゃが大好きだからその風味が得も言われぬ美味しさを引き出している。
豚汁とか味噌汁とか味噌ラーメンとか味噌味の料理は大抵好きだがそれでもほうとうは郡を抜いて美味しい。
前に食べた時は友人と一緒にドライブをした時だからその思い出がまた味に良いスパイスを効かせているに違いない。
ほうとうが食べたい。
自宅で作ったほうとうじゃない。
山梨のお店で出てくるほうとうが食べたい。
歩成さんで出てくるほうとうが食べたい。
過去2回中2回ともそこのほうとうしか食べたことがない。
そこの味しか知らないけれどほうとうが食べたい。
あわよくば2店舗ははしごしていきたい。
お残しは許さない性分だからきっと2店舗ぐらいでもう食べれなくなってしまうだろう。
ほうとうに愛され、ほうとうを愛した僕のことだ。きっとまた美味しいほうとうが食べられるに違いない。
ほうとうの良さはあの鍋に入ってくることも1つ挙げられるだろう。
アツアツの状態でやってくるほうとう。
鍋から1麺、2麺を橋でつかみ取り、口の中へと誘う。
激熱である。
ハフハフッと口から湯気を吹かせながら、舌を巧みに使って麺を口の中で転がす。
転がすと同時に口いっぱいに広がる味噌の風味。
一度噛めば程よい噛み心地にアゴも酔いしれる。
脳内に何かのエキスが染み渡る感覚、アツい血液が体中を巡り体が火照ってしまう。
ほうとうよ。ほうとうであるが故に僕をここまで虜にさせてしまうなんて。
故に僕は死ねない。
ちなみに皆さんはほうとうはご存知だろうか?山梨の郷土料理といったところだろうか。
ほうとうで漢字変換しようとすると砲塔が出て来るがまったくの別物だ。
ほうとうの絵文字があるかと思ったが無かったので別のものでほうとうをイメージして頂きたい。
別のものもなかった。
どうしたGoogleさん。
それは良いのだ。皆さんは特に深く考えずにcommand + T を押して欲しい。
新しくタブが開いただろう。
そこに「ほうとう」と検索すればいいだけだ。
たったこれだけ。
これだけできっとアナタも山梨に行かざるを得なくなるだろう。
それまで死ねない。僕と一緒だ。
だが僕はほったらかし温泉にも行きたい。
山梨県山梨市矢坪1669−18にあるほったらかし温泉に行きたい。
入浴料が1人800円を躊躇いなく躊躇なく支払いたい。
うっかりタオル忘れてほったらかし温泉オリジナルのタオルを買ってしまいたい。
甲府盆地を見下ろすことのできる露天風呂に3時間は浸かっていたい。
砂利の敷かれている駐車場に車を停めるところから心踊らずにいられない。
いや、温泉に向かう途中の長い上り坂を通っている時にはすでに心ここにあらずという状態であることは間違いない。
これを書いている時、くしゃみが止まらず、タイミング良く鼻から液体が垂れてしまっている。
だが、これもすでに脳みそが温泉に浸かった後を想像しているからに違いない。
ほったらかし温泉の温度は比較的ぬるい。
そのために長時間浸かることが可能なのである。
だが、秋から冬頃に行くとそれは風邪を引く原因にもなり得る。
だが安心して欲しい。その風邪は心地よいものに違いない。
1つくしゃみをすればきっと温泉を思い出す。
鼻水が出ても頭痛を感じても喉の痛みも気持ち悪さも体が熱っぽく感じても鼻をかんだ時も咳が出てしまったときも鼻にティッシュ詰め込んでも風邪薬をのんでもあもがsdが
友人と温泉に浸かってひたすら他愛のないことを話していたい。
露天風呂を覗くヘリコプターとかいるのかなとか無駄な思考に時間を費やしたい。
自分のちょいお肉出ているお腹と周りの引き締まったからだを比べて絶望したい。
俺の荷物誰かにあさられていないかなとそわそわしたい。万が一誰かが俺の服を盗んだら俺はどうやって帰ろうかなやっぱり裸かな友達が服貸してくれるかな近くにユニクロあるかな財布はロッカーに入っているかな俺の手首に鍵ちゃんと付いているかな1度確認しようかな日本人って海外に比べて盗まれるという心配あんまりしないから置きっぱにすることを不安がらないよな凄いなーとか考えたい。
お風呂上がりにはやっぱり牛乳で喉を潤したい。
牛乳の蓋が上手に開かないなんて友達と笑いあいたい。
でも牛乳じゃなくてコーラという異色にもチャレンジしてみたい。
コーラを飲みながら近くの売店で温玉揚げを食べたい。
がぶりと半分程食べて中からとろっと出てくる黄身を幸せそうに見つめたい。
君(黄身)に恋しているよ。なんて意味もなく頭のなかで考えながらもう一口を進めたい。
友達に1口頂戴と言われるより前に食べてしまいたい。そもそも卵のサイズで1口がもらえると思えたら大間違いだ。
そして友達と笑顔で車に乗ってエンジンをかけたい。
少し車内を暖めてから帰路に着きたい。
ここまで想像で豊かな心を持たせてくれる温泉に浸からずに死ぬ訳にはいかない。
言ってしまえばここまでのお出かけプランを考えさせてくれる山梨に行かずに死ぬわけにはいかない。
僕は山梨に行きたい。
山梨に行かずに死ぬわけにはいかない。
でも草津も良さそうだ。